『熱球』 重松清
年始、読み終わった『熱球』。 今回は結構時間がかかったな。
今回は多少ネタバレ気味なので、読んでみようかな?と思われてる方は注意してね。
本作は主人公「ヨージ」の一時的な帰郷を背景に、母の死、年老いた父の今後、
娘へのいじめ、リストラ、中年世代に踏み込んだ自分を見つめなおす日々が書き
綴られています。
元高校球児の「ヨージ」らしく、野球との関わりが盛り込まれながら話しは展開します。
作中に重松作品らしいキーワードが2つ込められています。
1つは「負けてもいい。高校野球でも最後まで勝ち抜くのは甲子園での優勝校だけ。」
もう1つは「逃げてもいい。逃げたからこそ帰ってくることができるんだから。」
このキーワードは要約してるんで、文中ではもっと自然に表現されています。
でも、今回は正直言って少々引っかかります。 この後はあくまでも私見で、気分を
害する表記があるかもしれません。
どうしても、ご覧になりたい方は、Ctrl+Aを押してみてね。
まず、重松作品に良く出てくる「負けてもいい。」というキーワードだけど、今回は特に
違和感を感じた。 そもそも「負け」るまでのアプローチ、「負け」た後の反省と努力、
それがないと「負け」なんて何の意味もないと思うんは僕だけかな?
特に今回は、嫁も子もある長男の「ヨージ」が、里帰りした後、特に職に就く訳でも
なく、留学で働く妻を包み込むこともなく、最終的に父の面倒を看る訳でもない。
田舎暮らしでは車が必要と中古のゴルフを買い、旧友を田舎者扱いする一面も。
日々をガムシャラに生きてる人からは、「のんき」を通り越して「あほ」にしか見えん。
そんな主人公が「負けてもいい」、「逃げてもいい」って口にしても、正直胸に響かんわ。
途中で何度読むのを止めようかって思ったか...これが長くかかった理由です。
今、『熱球』と一緒に買った重松作品を読んでいるんだけど、今回読んでる本が
つまらんかったら、暫く他の作家に鞍替えじゃな。
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