『閉鎖病棟』 帚木蓬生
今日は、お友達から紹介されて読んでみた、帚木蓬生氏の『閉鎖病棟』のご紹介。
この小説は、3つの短いお話しが展開される形でスタートします。 そのお話しは
この後の登場人物たちに関するエピソードなんですが、しっかりとインパクトのある
伏線になっていて、それぞれの人物が初めて登場する時に、その人物の背景に
どんな事があったのかを、読み手が理解しているという技巧が使われています。
「精神薄弱者」の側からの視点で物語を展開する事で、その健常者と変わらぬ
心の動き、世間や家族の理解の乏しさを切々と綴っています。 ある意味、
本当の意味での弱者たちの世界を記述する事で、人間の弱さ、強さ、やさしさを
うまく表現しているように思いました。
小説の中で展開される内容は、まさに僕たち身の周りの社会の縮図です。
人との関わりの大切さ、勇気や希望、そんなありふれた言葉を、あらためて
考えさせられる作品に仕上がっています。
「人間とは?」を考えさせられる1冊です。 興味のある方は是非どうぞ♪
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