« そうさく料理 『こっく』 | トップページ | 焼肉 藤良 »

2008年9月14日 (日)

『半落ち』 横山秀夫

「なんか面白い本、ないかな」と、本屋をぶらついてて、何となく手に取った『半落ち』。

数年前、寺尾聰主演で映画化された小説ですね。 遅ればせながら読んでみました。

Hanochi

 

警察官の梶聡一郎が、アルツハイマーの妻を絞殺し、自首するところから物語りは

始まります。 取調べで、絞殺後、自首するまでに、2日間の空白がある事が判明

します。 ところが、梶はどうしても、その「空白の2日間」の事を口にしません。

 

警察、検察、新聞記者、弁護士、裁判官たちが、それぞれ色んな角度から、

「空白の2日間」の真相を見極めようとしますが、梶は結局、最後の最後まで

自分から口にする事はありません。 読者もず~っと、やきもきさせられます。(笑)

 

最後の10ページで、「空白の2日間」に何をしていたか、そしてどうして口に

しなかったかが語られています。 感動のラストで、僕もウルッってしちゃいました。

ミステリー小説と呼べるかどうかは別にして、話題作なのも頷けました。

 

でも、読了後、冷静に考えると、何だか違うんじゃないかな~って感じました。

ここからは完全にネタバレなんで、文字色を白色にします。 読んでもいいや!って

方は、[Ctrl]+[A]なりで、反転させてお読み下さい。

 

自分が骨髄ドナーとなる事で救ったラーメン店の青年に迷惑をかけてはならない、

自分が骨髄バンクに登録できる期限の50歳が来るまで死ぬ訳にはいかないと、

自分が席を置いた組織に迷惑をかけても、頑として自白をせず、生きる道を選んだ

主人公。 それだけの決意ができるんだったら、どうしてアルツハイマーの妻と

何が何でも添い遂げる道を選ばなかったかと思うと、とっても腹立たしいです。

僕だったら、そんな偽善者のような道を選んで、妻を捨てるような事はしません。

 

確かに、妻や家族が病に伏すのは、本人だけじゃなく、家族全員に負担がかかるし、

見るのも辛い事だと思います。 でも、実際、世の中には当たり前のようにある

話しだし、主人公だけの身に降りかかった不幸ではありません。 重松清に

言わせると、「ミナナミナナヤミ」ですわ。 もちろん、同情はするけど、どうもねぇ。

 

って、自分の意見を書いたんだけど、うがった受け取り方かもしれません。

読了後には、人生について考えさせられる1冊です。 気になる方は是非どうぞ!

|

« そうさく料理 『こっく』 | トップページ | 焼肉 藤良 »

小説」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『半落ち』 横山秀夫:

« そうさく料理 『こっく』 | トップページ | 焼肉 藤良 »