『半落ち』 横山秀夫
「なんか面白い本、ないかな」と、本屋をぶらついてて、何となく手に取った『半落ち』。
数年前、寺尾聰主演で映画化された小説ですね。 遅ればせながら読んでみました。
警察官の梶聡一郎が、アルツハイマーの妻を絞殺し、自首するところから物語りは
始まります。 取調べで、絞殺後、自首するまでに、2日間の空白がある事が判明
します。 ところが、梶はどうしても、その「空白の2日間」の事を口にしません。
警察、検察、新聞記者、弁護士、裁判官たちが、それぞれ色んな角度から、
「空白の2日間」の真相を見極めようとしますが、梶は結局、最後の最後まで
自分から口にする事はありません。 読者もず~っと、やきもきさせられます。(笑)
最後の10ページで、「空白の2日間」に何をしていたか、そしてどうして口に
しなかったかが語られています。 感動のラストで、僕もウルッってしちゃいました。
ミステリー小説と呼べるかどうかは別にして、話題作なのも頷けました。
でも、読了後、冷静に考えると、何だか違うんじゃないかな~って感じました。
ここからは完全にネタバレなんで、文字色を白色にします。 読んでもいいや!って
方は、[Ctrl]+[A]なりで、反転させてお読み下さい。
自分が骨髄ドナーとなる事で救ったラーメン店の青年に迷惑をかけてはならない、
自分が骨髄バンクに登録できる期限の50歳が来るまで死ぬ訳にはいかないと、
自分が席を置いた組織に迷惑をかけても、頑として自白をせず、生きる道を選んだ
主人公。 それだけの決意ができるんだったら、どうしてアルツハイマーの妻と
何が何でも添い遂げる道を選ばなかったかと思うと、とっても腹立たしいです。
僕だったら、そんな偽善者のような道を選んで、妻を捨てるような事はしません。
確かに、妻や家族が病に伏すのは、本人だけじゃなく、家族全員に負担がかかるし、
見るのも辛い事だと思います。 でも、実際、世の中には当たり前のようにある
話しだし、主人公だけの身に降りかかった不幸ではありません。 重松清に
言わせると、「ミナナミナナヤミ」ですわ。 もちろん、同情はするけど、どうもねぇ。
って、自分の意見を書いたんだけど、うがった受け取り方かもしれません。
読了後には、人生について考えさせられる1冊です。 気になる方は是非どうぞ!
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