『柔らかな頬』 桐野夏生
今日は、桐野夏生作『柔らかな頬』のご紹介。 第121回直木賞受賞作です。
この作家の作品を読むんは初めてなんだけど。女流作家との相性、悪いんよ。(笑)
主人公のカスミは、夫のクライアント石山と不倫関係にあり、お互い家族を
省みないところまでのめりこんでしまった。 そんな中、石山の提案で購入した
支笏湖畔の別荘に、カスミの家族を招くという、大胆かつ浅はかな行動に出ます。
そこで、カスミの長女、5歳の有香が謎の失踪をしてしまいます。
「子供を捨ててもいい」と思っていたはずのカスミは、常軌を逸して、有香を
探し回ります。 その間、カスミ自身の心情、周囲の人々の心情、そして交わりが
どんどん変遷していく様を、緻密に描いています。 女流作家らしく、ちょっと
細かすぎて、「そこまで書かんでも...」って思う箇所も多分にあるんだけどね。
人気女流作家「宮○みゆき」さんほどではないかもしれんけど。(笑)
しかし、この主人公のカスミは、とても怖い女性ですわ。 『白夜行』の唐沢雪穂も、
『幻夜』の新海美冬も、「怖~っ」って思ったんだけど、このカスミはちょっと違った
意味で怖い女性です。 身の周りに、こんな人がいたら、絶対に理解不能ですわ。
自分勝手で奔放で破滅的で...女性の目線だと違うんかもしれんけどね。
ここからはネタバレなんで、気を付けて下さいね。(笑)
ミステリー小説という事で読んでみたんだけど、こりゃミステリーではありません。
最終的に犯人は、誰だか分からんままで、小説は終わります。 熟読すれば
分かるような伏線もありません。 それに、3人の容疑者らしき人物が描かれて
いるんですが、それは登場人物の夢の中でのお話し。 なんじゃそりゃ。(笑)
状況証拠さえもなく、真偽のほども分かりません。 さてさて、こりゃ困ったぞ。
ググッってみると、やはり犯人が分からないって事で、釈然としない読者は
たくさんいらっしゃるみたいです。 「登場人物の心理の変化を楽しむ小説」と
大人の読み方をされてる方もいらっしゃるみたいですが、僕にはムリじゃな。
正直、反則ですわ! この終わり方。 煮え切らなくて、しゃーないがな。(笑)
とはいえ、上下巻合わせると、結構なボリュームなんだけど、案外早く読了
しました。 この作家の書き味が、何となく僕にあってたんかもしれません。
ネットで見ると、『OUT』という作品がお勧めのようなので、今度はそれを読んで
みようかな。 気になる方は是非どうぞ! で、有香ちゃん、何処にいるん???
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