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2008年10月 5日 (日)

『柔らかな頬』 桐野夏生

今日は、桐野夏生作『柔らかな頬』のご紹介。 第121回直木賞受賞作です。

この作家の作品を読むんは初めてなんだけど。女流作家との相性、悪いんよ。(笑)

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主人公のカスミは、夫のクライアント石山と不倫関係にあり、お互い家族を

省みないところまでのめりこんでしまった。 そんな中、石山の提案で購入した

支笏湖畔の別荘に、カスミの家族を招くという、大胆かつ浅はかな行動に出ます。

そこで、カスミの長女、5歳の有香が謎の失踪をしてしまいます。

 

「子供を捨ててもいい」と思っていたはずのカスミは、常軌を逸して、有香を

探し回ります。 その間、カスミ自身の心情、周囲の人々の心情、そして交わりが

どんどん変遷していく様を、緻密に描いています。 女流作家らしく、ちょっと

細かすぎて、「そこまで書かんでも...」って思う箇所も多分にあるんだけどね。

人気女流作家「宮○みゆき」さんほどではないかもしれんけど。(笑)

 

しかし、この主人公のカスミは、とても怖い女性ですわ。 『白夜行』の唐沢雪穂も、

『幻夜』の新海美冬も、「怖~っ」って思ったんだけど、このカスミはちょっと違った

意味で怖い女性です。 身の周りに、こんな人がいたら、絶対に理解不能ですわ。

自分勝手で奔放で破滅的で...女性の目線だと違うんかもしれんけどね。

 

ここからはネタバレなんで、気を付けて下さいね。(笑)

ミステリー小説という事で読んでみたんだけど、こりゃミステリーではありません。

最終的に犯人は、誰だか分からんままで、小説は終わります。 熟読すれば

分かるような伏線もありません。 それに、3人の容疑者らしき人物が描かれて

いるんですが、それは登場人物の夢の中でのお話し。 なんじゃそりゃ。(笑)

状況証拠さえもなく、真偽のほども分かりません。 さてさて、こりゃ困ったぞ。

 

ググッってみると、やはり犯人が分からないって事で、釈然としない読者は

たくさんいらっしゃるみたいです。 「登場人物の心理の変化を楽しむ小説」と

大人の読み方をされてる方もいらっしゃるみたいですが、僕にはムリじゃな。

正直、反則ですわ! この終わり方。 煮え切らなくて、しゃーないがな。(笑)

 

とはいえ、上下巻合わせると、結構なボリュームなんだけど、案外早く読了

しました。 この作家の書き味が、何となく僕にあってたんかもしれません。

ネットで見ると、『OUT』という作品がお勧めのようなので、今度はそれを読んで

みようかな。 気になる方は是非どうぞ! で、有香ちゃん、何処にいるん???

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