『夜のピクニック』 恩田陸
今日は、恩田陸著『夜のピクニック』のご紹介。 印象的な表紙が、以前から
気になってた一冊です。 数年前に映画化されて話題になりましたよね。
主人公は、高校3年生のクラスメイト、貴子と融(とおる)の二人。 この二人は
異母兄弟で、その事を互いに意識してしまい、口を交わすことさえありません。
この2人の通う高校には「歩行際」という夜通しかけて80kmの道程を歩く
変わった催し物があります。 その歩行際を通じて、主人公たちの友達や
本人たちの心の動きを、緻密に、そして爽やかに書き上げている物語です。
ただ歩くだけという「歩行際」を、たんたんと、そして詳細に描いているもんだから、
読者も一緒に歩いているかのような錯覚に陥ります。 あ~あ、しんどかった。(笑)
いわゆる、「青春モノ」なのですが、出てくる登場人物が、みんながみんな、とっても
爽やか。 いや、爽やかすぎないかな? 僕の高校には、もっとひねくれた奴も
周りにたくさんいたような気がする。 ひょっとして、自分がそうだったかも?(汗)
重松清氏の作品をたくさん読んでるんだけど、リアリズムとしては重松作品の
方に軍配が上がっちゃうな。 まあ、これから高校生になろうとしている子供を
かかえる親の立場からすると、重松作品のような高校生活を送るんじゃなくて、
『夜のピクニック』のような、爽やかな高校生活を送ってもらいたいもんですね。
ラストは、大体想像した通り。 そういう意味では、読者を裏切らない一冊です。
青春時代を思い出したい方にお勧めの一冊です。 気になる方は是非どうぞ!
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