小説

2009年10月 9日 (金)

『長い家の殺人』 歌野昌午

今日は歌野昌午著、『長い家の殺人』をご紹介します。 この本は氏の処女作で、

新装版として、再出版されたものです。

Book

 

常日頃、本を読み漁ってる僕なんだけど、 面白い本に出逢いたいというのと同時に、

お気に入りの作家さんに出逢いたいって思いがあるんだよね。 東野圭吾さんの

ように強烈なインパクトを受けた訳じゃないんだけど、歌野昌午さんの文章は

何となく読みやすいんです。 文章にした時に、必要な部分と必要でない部分の

見極めが、僕の好みと合ってるんだと思います。 逆に、不要な文章をダラダラ

書かれると読みながら腹が立ってくるんだよね。 まあ、誰とは言わないけど。(笑)

 

脱線はこのくらいにしてっと。 この物語は、いわゆる本格ミステリーです。

卒業を控えた6人のバンドメンバーが、ラストライヴのための合宿を開きます。

その合宿先で、メンバーの一人が絞殺死体として発見されます。 その死体の

死亡推定時刻には、発見された部屋に死体がなかったのをメンバー全員が

確認しています。 犯人は何処に死体を隠し、どうしてそのような事をしたのか。

ってな感じで物語が始まります。 いかにも!ってストーリーは涙モンです。(笑)

 

処女作というのは文章のそこかしこに感じられるんだけど、初々しさがあって

逆に新鮮です。 ありとあらゆる伏線の張り巡らせ方も見事です。 実は、読んでる

途中でメインのトリックは分かっちゃいました。(笑) でも、それだけでは状況証拠に

しかならないのを、キッチリと裏付ける被害者の歌に隠された暗号が特筆モノでした。

 

やっぱり、歌野昌午さんはお気に入りの作家さんだと再認識しました。

氏の作品のコンプリーターになろっかな? 気になる方は是非どうぞ~♪

| | コメント (0)

2009年9月20日 (日)

『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎

今日は、伊坂幸太郎著、『陽気なギャングの日常と襲撃』のご紹介。 以前、紹介した

陽気なギャングが地球を回す』の続編です。 氏の作品も結構読みましたが、この

「陽気なギャング」シリーズが、僕の一番お気に入りな作品かもしれません。

Book

 

例の4人組が、それぞれ関わる4つの短編と、4人が登場する中編という変わった

構成になってます。 それに加え、ボーナス的な短編も巻末に収められています。

 

面白いのが4つの短編が、後の中編の伏線となっていて、あれやこれやの出来事が

複雑に、そして巧妙に入り混じって、最期は1本の線に束ねられています。 いや~、

分かりやすいと言えば分かりやすいんだけど、読む側としては、「もしかして?」と

想像した通りに展開する中で、「ほ~、ここもこう絡むわけね!」って感心しながら

読み進められて、読了後のスッキリ感は、なかなかの作品に仕上がっています。

 

まあ、全体的に軽いタッチと内容なので、「心に一石を投じる」といった重厚感は皆無

ですが、素敵な4人のお洒落な会話や節回しが心地よく感じられるんじゃないかな?

深く考えず、読み手も軽い気持ちで読める作品だと思います。 そうそう、お勧めの

一冊なんですが、もし読まれる方は、まずは『陽気なギャングが地球を回す』の方を

先に読んで下さいね。 これ、重要なポイントです! 気になる方は是非どうぞ♪ 

| | コメント (0)

2009年9月13日 (日)

『帝都衛星軌道』 島田荘司

今日はミステリー界の重鎮 島田荘司氏の最新文庫、『帝都衛星軌道』のご紹介。

早速、ゲットしたんだけど、タイトルだけじゃ、内容は全く想像もできませんね。(笑)

Book

 

「帝都衛星軌道(前編)」、「ジャングルの虫たち」、「帝都衛星軌道(後編)」といった

変則的な構成になっています。 ボリューム的には中編小説2部作といった感じです。

 

「帝都衛星軌道」の内容ですが、一言で言うと「誘拐物」です。 中3の息子が誘拐され、

犯人の指示通り、身代金を渡そうとした母親が警察の包囲網を見事に抜けてしまう。

その後、無事に息子は解放されるが、母親は「もう戻らない」という言葉を残して失踪

してしまいます。 合点のいかない父親が、妻を捜索しようとするのだが...

 

小説の中に張り巡らされた雰囲気は、まさに「島田ワールド」。 本格ミステリーという

言葉が古めかしいと言われる事もありますが、何となく昭和を感じさせる雰囲気が

あちらこちらに漂っています。 読んでると異空間にいるような錯覚を覚えますわ。

 

この、お堅いタイトルですが、読了後にやっと意味が把握できました。 ここだけの話、

この小説の一番の謎の答えが、このタイトルに隠されています。 そんな大胆さが

巨匠の巨匠たる所以なんでしょうね。 流石じゃわ。 気になる方は是非どうぞ!

| | コメント (0)

2009年8月23日 (日)

『赤い指』 東野圭吾

先日のお盆休みに、嫁さんの実家に帰ったついでに立ち寄った本屋さんで見つけた

東野圭吾氏の最新文庫本『赤い指』。 発売翌日に偶然ゲットできるなんてラッキー♪

Book

 

とはいえ、その時に読んでた本がなかなか読み進めなかったんで、この間の出張の

最終日の朝に、やっと読み始めました。 予想通り、面白すぎて一日で読了。(笑)

 

『赤い指』は、加賀恭一郎シリーズの最新作です。 『卒業―雪月花殺人ゲーム』で

始まる加賀恭一郎シリーズですが、もちろん全部読破しています。 加賀恭一郎の

イメージはとっても硬派な男性なんだけど、今回の『赤い指』ではウェットな魅力も

追加され、ますます魅力がUP。 聡明で、洞察力があって、すごくかっこいいんよ。

 

今、嫁さんが読んでるんで、「ブログでネタバレはナシ!」って、釘を刺されてます。

内容は書けないんだけど、この小説で得た教訓だけをご紹介します。 優柔不断、

問題の先送り、その場しのぎのいい加減な対応は、何ら良い結果をもたらさない

って事です。 目の前の問題に、一生懸命取り組まないと、蓄積されたストレスは

とんでもない形で露出するみたいです。 お~、怖~っ! 気になる方は是非どうぞ♪

| | コメント (2)

2009年8月15日 (土)

容疑者Xの献身

とっても久しぶりに映画を見ました。 とは言え、自宅でレンタルDVDですけどね。(汗)

それも自分が借りてきた訳ではなくて、嫁さんが「僕が喜ぶだろう!」って借りてきて

くれました。 まあ、嫁さんが福山君のファンだもんで、一石二鳥といったところですな。

Yougisya

 

東野圭吾文庫本コンプリーターの僕は、もちろん原作を読んでますし、映画化された

事も横目でチェックしてました。 ガリレオシリーズのドラマ化で、原作には登場しない

柴崎コウさんが出てくるのは致し方ないとして、準主役の数学者 石神の配役として

堤真一さんは、正直どうかと思ってたんよ。 実際に、試写会の舞台挨拶で、堤さん

本人が、「僕なんかでスイマセン」という内容のコメントをしてましたしね。(笑)

 

映画を見た感想ですが、実に小説を忠実に描いていると思います。 言葉足らずを

感じたり、よく分からないシーンが追加されてたりするのは、2時間枠があるから

仕方ないんだけど、それを差っぴいても、なかなかよくできてるんじゃないでしょうか。

それより何より、堤真一さんの石神がいいんですよ。 少し前かがみ気味に石神を

演じる姿に、観ている途中で違和感が吹き飛びました。 さすが、役者さんじゃわ。

 

感動のラストシーンも圧巻でした。 これまた、よく再現されていて、本を読んだとき

以上に泣いちゃいました。 もうね、「うおううおう」って、嗚咽交じりの号泣状態です。

(読んだ人しか分からんな。笑) それを見た嫁さんは、呆れちゃってたし。(汗)

 

是非、一度小説を読んでからご覧になるのをお勧めします。 「読んでから見るか、

見てから読むか」って古いコピーがありますが、この作品は、前者だと思います。

まあ、基本的に「読んでから」なんだけどね。(笑) 興味のある方は是非どうぞ♪

| | コメント (0)

2009年7月21日 (火)

『終末のフール』 伊坂幸太郎

今日は伊坂幸太郎著、『終末のフール』のご紹介。 前回の『魔王』が「あれれ~」って

出来だったんで、今回は期待に沿ってくれるんでしょうか? まあ、記事にしてる時点で

僕の心の琴線の何処かに触れたって事なんだけどね。(笑)

Book

 

「8年後、地球に小惑星が衝突して、人類は滅亡する。」と、公式に発表されて

5年後の仙台を舞台にした短編集です。 発表直後、パニックに陥った人々の

騒乱が静まり、一時的と思われる落ち着きを取り戻した世界を描いています。

 

「終末のフール」、「太陽のシール」、「籠城のビール」、「冬眠のガール」、「鋼鉄の

ウール」、「天体のヨール」、「演劇のオール」、「深海のポール」の全8作品。

韻を踏んだ題名(中には苦しいのもありますが。笑)が著者らしいし、微妙に

現実と距離を置いて展開される作風は、まさに伊坂ワールドと呼べる物です。

『オーデュボンの祈り』ほどは、現実と乖離していないですけどね。(笑)

 

この8作品の中で、一番心に残ったのは「鋼鉄のウール」です。 主人公は中3の

男子。 小学生の頃、ふと思いついて始めたキックボクシングだけど、地球が滅亡

する事が周知となった騒動で、尊敬していた父親は部屋に引きこもり、イライラを

ずっと抱えて日々を過ごします。 数年間うやむやになっていたジムに顔を出して

みると、騒動前と何も変わらずサンドバッグを叩き続けるチャンピオンと、会長の

姿がそこにありました。 主人公も、何となく、またジムに通い始めるんだけど...

 

って感じの展開です。 このチャンピオンは、K-1の「武田幸三選手」をモチーフに

しているそうです。 これが、実にかっこよく描かれてるんですよ。 そのチャンプが

口にしたある言葉に心を揺さぶられました。 辛い練習をきつく感じたチャンプが

自分自身に投げかける言葉で、主人公も道を外しそうになった時に、この言葉

思い出し、我に帰ります。

 

よくテレビの世界で、「座右の銘は?」と尋ねられた人が、即座に返答をしているのを

みて、「すっごいな~」と思ってました。 「座右の銘」なんて意識した事なんてないし、

それを心のいつでも取り出せるところに置いてあるのを不思議に思っていました。

でも、そんな僕にも「座右の銘」が見つかりました。 それだけでも、この本を読んだ

甲斐があるってモンです。 お気に入りの「鋼鉄のウール」が余りに印象的だった

んで、他の7作品は正直霞んじゃいます。(笑) 気になる方は是非どうぞ♪

 

えっ、その言葉が気になりますか? じゃあ、特別に教えちゃいますね。

 

   『おい俺、俺は、こんな俺を許すのか?』

 

くじけそうになった時、横着を考えた時、自分の言動で人を傷つけそうになった時、

色んなシチュエーションで、この言葉を引っ張り出そうと思ってます。

| | コメント (0)

2009年7月 5日 (日)

『さらわれたい女』 歌野昌午

今日は久々に小説ネタを。 歌野昌午氏と言えば、『葉桜の季節に君を想うということ』

で、僕の度肝を抜いてくれた作家さんです。 ある書店に伺うと、お勧めコーナーに

氏の作品が何冊か置いてありました。 その中から4冊一度に大人買い。(笑)

先日、全て読み終わったんだけど、一番面白かったのが、この作品です。

Books

 

主人公の便利屋のところに、ある日「私を誘拐してください」と依頼する美人若妻が

現れます。 「主人の愛情を確認したい」という突拍子もない依頼に戸惑いながらも

引き受けるところから物語は始まります。 いわゆる「狂言誘拐」ですね。

 

綿密(と、主人公は思っていた。)な計画を練り、若妻と口裏を合わせ、偽装工作を

重ねて、ほぼ計画通りに事は進みます。 主人公の「してやったり」もありながら

計画を遂行し、若妻を匿ったマンションに戻ってみると、そこには若妻の死体が。

 

なんて感じで物語りは進行していきます。 なかなかの疾走感と、主人公のキャラで

一気に読了しました。 この主人公の破天荒なキャラ、『葉桜の-』の主人公に

通ずる物を感じます。 歌野氏は、こういうキャラを書くのが得意なんかもね。

 

読み終わった感想、「女の人って怖いんね。 それ以上に、男ってダメじゃな。」(笑)

ミステリー好きにはお勧めの一冊です。 気になる方は、是非どうぞ♪ 

 

今回購入した作品のうち、『ガラス張りの誘拐』、『世界の終わり、あるいは始まり』

の2作も誘拐ネタでした。 でも、切り口が違って、どちらもなかなか良かったですよ。

『ジェシカが駆け抜けた七年間について』は...こりゃ、ナシじゃ。 反則じゃな。(笑)

| | コメント (0)

2009年5月31日 (日)

『疾走』 重松清

今日は重松清著『疾走』のご紹介。 重松作品は、どれもこれも考えさせられるんで、

精神的に安定してないと、一緒になって落ち込んじゃったりしちゃうんだよね。(汗)

インパクト大の表紙絵ということもあり、何となく未読だったんだけど、思い切って

手にしてみました。 それにしても、あらためて見るとホント怖い表紙絵じゃな。

Shissou

 

瀬戸内海に面したO市の「浜」に生を受けた主人公シュウジ。(明らかに岡山じゃ。)

その短い生涯を綴った物語です。 全編、ずっと重々しくて、特に上巻を読み上げる

のに、かなり時間がかかっちゃいました。 下巻も、重々しさは変わらないんだけど、

急に展開のスピードが上がって、1日で読んじゃいました。

 

読了後の爽快感は...残念ながら皆無です。 胸の奥にずっしりと重い物が

居座っちゃって、その重い物は暫く消えてくれませんでした。 でも、あの終わり方

しか無いんでしょうね。 ふ~、思い出しただけで、しんどくなっちゃうな。(ため息)

 

内容はさておき、二人称の語り部の神父さんの教えに、「なるほど」と思いました。

「運命」と「宿命」の違いをシュウジに問うシーンがあって、中学生のシュウジは

答えられません。 神父さん曰く、「『宿命』は、人がいずれ死ぬように誰にも

訪れる事、『運命』は、各人が持っている『すごろく』のような物」だそうです。

その人その人で持っている『すごろく』は、生まれながらに決まってて、どのコマに

止まるかで生き方が変わるんだそうです。 「生まれながらにして、持ってる

『すごろく』が違うんじゃないの?」って、ヒロインの女の子の指摘も印象的でした。

僕の『すごろく』は...どうなんじゃろ? 『あがり』の時に、分かるんかな?

 

ちなみに、主人公のシュウジは、ことごとく悪いコマに止まってしまいました。

重松作品を初めて読もうと思われてる方には、この『疾走』はお勧めしません。

直木賞を取った『ビタミンF』や、『流星ワゴン』をお読み下さい。 自分自身が

しっかり受け止められている方は、こんな切ない『運命』を抱えた少年の生涯を

垣間見るのも、いい経験になるかもしれません。 興味のある方は、どうぞ♪

| | コメント (2)

2009年5月 3日 (日)

『町長選挙』 奥田英朗

バタバタしていた年度末。 とはいえ、それなりに移動時間があったりして、結構な

数の本を読みました。 何せ、活字中毒なもので、常に小説がバッグに入ってないと

落ち着かないんだよね。(汗) そんな中から、奥田英朗氏の『町長選挙』をご紹介。

『イン・ザ・プール』、『空中ブランコ』に続く、伊良部シリーズ第3弾です。

Hyoushi

 

今回も、4編で構成される短編小説なんだけど、今までと比べると少し少なめじゃな。

それと、4編中3編は、患者が明らかに有名人をモチーフとしている点も、これまでと

違う点です。 1作目はナベツネ翁、2作目はホリエモン、3作目は黒木瞳さんです。

 

4作目の表題作「町長選挙」も面白かったんだけど、一番心に残ったのは3作目の

「カリスマ稼業」かな。 中年世代にも関わらず、その年齢に見えない女優の影での

努力と、精神的な重圧をユーモラスに、そして誇張を交えて描いています。

 

そんな頑張りすぎる女優と、僕の姿が重なっちゃいました。 少々の雨なら、早朝

ジョギングに出かけたり、しんどくてもジムに通っちゃうんだよね。 明らかに無理

してるよな。(汗) 伊良部先生に言わせると、ある程度の年齢になって、年齢相応

でないってのは「不自然」なんだそうです。 う~ん、耳の痛い話しじゃ。(滝汗)

 

ちょっと逸れたけど、『町長選挙』は今までの2作と比べ、伊良部先生のインパクトが

欠け気味に思われました。 何だか、ただの駄々っ子なんだよね。(笑) その分、

マユミちゃんの活躍(?)と魅力がUPしています。 マユミちゃん、最高です!

軽~く読める内容ですんで、興味のある方は是非どうぞ♪

| | コメント (0)

2009年4月 5日 (日)

『人形はなぜ殺される』 高木彬光

ミステリー小説好きなんですが、ここ最近、思うような作品に巡り会えていません。(悲)

いつも参考にさせて貰ってるサイトで、不動の首位の作品が以前から気になってました。

あちこちの書店で探し回ったんですが、なかなか置いてあるお店に巡り会えません。

困ったときのamazonさん頼みって事で、取り寄せてみました。

Doll

 

この小説、初版は1955年ということで、50年以上前の作品です。 実際に読んで

みると、言葉の言い回しに少々古さを感じさせますが、伏線の張り方、ミスリードの

導き方、途中で作者が読者に謎解きの挑戦するなど、本格ミステリーのお手本と

いっても過言ではない内容となっています。 さすが、傑作と呼ばれるだけあります。

 

殺人が起こる前に、必ず「人形」が殺されます。 それ自体に、必然性があるんですが、

第2の殺人に、最も大きなトリックが施されています。 でもね、一字一句、見逃さない

ように読んでたせいか、このトリックで、犯人が分かっちゃいました。(笑)

 

読了後に、犯意の希薄さが少々気になりましたが、やはり、よく練られた作品です。

高木作品、もう一冊ゲットしてるんで、いま読んでいるところです。 古くても、やっぱり

いい物はいいですね。 古い作品繋がりで、小学生の頃にはまった金田一シリーズを

読み返してみようかな?(マセガキじゃな。笑) 興味がある方は、是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月22日 (日)

『夜のピクニック』 恩田陸

今日は、恩田陸著『夜のピクニック』のご紹介。 印象的な表紙が、以前から

気になってた一冊です。 数年前に映画化されて話題になりましたよね。

Picnic

主人公は、高校3年生のクラスメイト、貴子と融(とおる)の二人。 この二人は

異母兄弟で、その事を互いに意識してしまい、口を交わすことさえありません。

この2人の通う高校には「歩行際」という夜通しかけて80kmの道程を歩く

変わった催し物があります。 その歩行際を通じて、主人公たちの友達や

本人たちの心の動きを、緻密に、そして爽やかに書き上げている物語です。

 

ただ歩くだけという「歩行際」を、たんたんと、そして詳細に描いているもんだから、

読者も一緒に歩いているかのような錯覚に陥ります。 あ~あ、しんどかった。(笑)

いわゆる、「青春モノ」なのですが、出てくる登場人物が、みんながみんな、とっても

爽やか。 いや、爽やかすぎないかな? 僕の高校には、もっとひねくれた奴も

周りにたくさんいたような気がする。 ひょっとして、自分がそうだったかも?(汗)

 

重松清氏の作品をたくさん読んでるんだけど、リアリズムとしては重松作品の

方に軍配が上がっちゃうな。 まあ、これから高校生になろうとしている子供を

かかえる親の立場からすると、重松作品のような高校生活を送るんじゃなくて、

『夜のピクニック』のような、爽やかな高校生活を送ってもらいたいもんですね。

 

ラストは、大体想像した通り。 そういう意味では、読者を裏切らない一冊です。

青春時代を思い出したい方にお勧めの一冊です。 気になる方は是非どうぞ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月15日 (日)

『陽気なギャングが地球を回す』 伊坂幸太郎

今日は伊坂幸太郎著『陽気なギャングが地球を回す』のご紹介。 先日、出張先からの

帰り、時間がない中、駅のキオスクで慌てて手にした本が、たまたまこの本でした。(笑)

Gang

 

相手の嘘が見抜ける成瀬、天才的に演説が得意な響野、天才スリ師 久遠、そして

秒単位の時間感覚を持つ紅一点 雪子。 特殊能力を持つ4人が集まるなんて、

まるで「ファンタスティック4」じゃな。(笑) この4人は華麗に銀行強盗を働く

「陽気なギャング」。 ある日、計画通りに銀行強盗を成功させ、逃走中に別の

強盗団に、略奪した現金と車を奪われてしまいます。 そのお金を取り返すべく、

4人が奮闘します。 いわゆる、痛快娯楽活劇ならぬ痛快娯楽小説です。

 

いや~、スピード感が心地よくて2日で読了しました。 まあ、大体思った通りの

展開だったんだけどね。(笑) 個性的なキャラクターが闊歩する中でも、口の

達者な響野は、もう完全にツボ! あんな風にしゃべれたら、人生、どんだけ

楽しいだろ? あんな素敵な男になりたいもんじゃ。 強盗はダメだけどね。(笑)

 

知らなかったんだけど、どうやら映画化されてたみたいです。 キャストは

成瀬(大沢たかお)、響野(佐藤浩市)、久遠(松田翔太)、雪子(鈴木京香)。

他のキャストは大体OKだけど、軽めのキャラの響野は、僕的にはちょっとNG。

読んでる最中は小日向文世さんとダブらせてました。 小日向文世さんは、色んな

テレビでよく見かけるんだけど、名前を調べるのに5分もかかっちゃった。(笑)

今度、DVDでも借りて観てみようかな? 気になる方は是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 8日 (日)

『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野 晶午

先日、岡山一番街をぶらぶらしてたら、『好栄堂書店』さんの店先で、この本が

推薦されてました。 90年代のバンドブームの頃の曲名みたいじゃな。(笑)

Book_2

 

センチメンタルな内容なんかな?って、ページをめくると、とっても軽薄な出だしです。

自称「何でもやってやろう屋」の成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から

怪しい霊感商法の団体「蓬莱倶楽部」の調査を依頼されます。 そんな折、ある駅で

ホームに飛び降りた女性を助けます。 その女性の名前は麻宮さくら。

成瀬とさくらのプラトニックラブ、蓬莱倶楽部の真相、成瀬の過去が交錯します。

 

残り5分の1に差し掛かった頃、とんでもない展開が読者を待ち受けてます。

「えっ! ちょっ! うそ~~~っ! ぐはっ、やられた~~~~~!!!」って

マジで声が出ちゃいました。 ここまで、コロッと騙されたんは初めてかもしれん。

この驚きを感じるだけで、この本の存在価値があるってモンです。 こりゃ凄いわ!

 

ミステリーものなので、結末は書けませんが、生きていく勇気もいただけます。

「葉桜の季節」...なるほどねぇ。 「君を想う」...かく、ありたいねぇ。

本を読んで、驚嘆の声を上げてみたい方にお勧めです。 気になる方は是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月18日 (日)

『46番目の密室』 有栖川有栖

今日は有栖川有栖氏の『46番目の密室』をご紹介。 

ミステリー好きの僕でさえ仰け反るほどの、本格ミステリーど真ん中の一冊です。(笑)

46

 

密室の巨匠作家の家に、友人、知人が毎年恒例のクリスマスパーティーに集まり、

そこで殺人事件が起こります。 それも同時に2つの殺人事件が... それも

共に密室殺人。 そこに偶然居合わせた犯罪社会学者 火村が事件に挑みます。

 

密室モノって結局抜け道があって、「あ~そうなん」って結末になるんだけど、

この小説はそこに至るまでのプロットがとっても丁寧で、一ひねりされてます。

有栖川氏の小説は全般的に理路整然としている印象で、無理なく構成されて

いますね。 先日読了した『マジックミラー』もそうじゃったな。 「本格ミステリー

ってどんな本?」って方に、「これがそうだよ!」って勧められる一冊です。

 

最近、本格ミステリーばっかり読んでるんで、次は違ったジャンルを読んでみよっと!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月28日 (日)

『Pの密室』 島田荘司

今日は島田荘司著、『Pの密室』のご紹介。 名探偵 御手洗潔シリーズの一冊です。

Locked_room_p

 

「鈴蘭事件」、「Pの密室」の2つの中編で構成されてます。 いつもと違うのは、

御手洗潔が子供ってところ。 「Pの密室」では小学2年生、「鈴蘭事件」に至っては

なんと幼稚園児で登場します。 それが大人顔負けの推理をするって言うんだから、

誰もが「名探偵コナン」を思い浮かべるはずです。 コナンは高校生だけどね。(笑)

 

「子供がこんな事、思いつかんじゃろ!」ってツッコミは置いといて、トリックや

伏線は、さすが島田ワールド。 特に「Pの密室」の数学的世界に、理系の

僕はしてやられました。 まあ、証拠隠蔽のためのトリック自体、子供が考えた

内容なので、少し必然性にかける気もするんだけどね...って、ネタバレ。(汗)

 

独特な世界感を持つ御手洗潔のイリュージョン、気になる方は是非どうぞ♪

次も、島田作品を読んでみよっかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月21日 (日)

『13階段』 高野和明

今日は高野和明氏の『13階段』をご紹介。 手持ちの本を切らしてて、時間がない中、

飛び込んだ書店で無意識のうちに手にしてました。 って、万引きじゃないよ。(笑)

13stairs_2 

 

題名から分かるように「死刑」というのが大きなキーワードになっています。

主人公の一人「三上純一」は、2年前に過失致死の罪で服役した後、仮釈放の

身になります。 両親の元に戻った純一を待っていたのは、自分の犯した罪の

ために苦しみもがく家族の姿でした。 そこへ、純一の服役していた刑務所の

刑務官「南郷」が突然尋ねてきます。 その刑務官の言葉とは、「今、服役中の

冤罪の可能性のある死刑囚を救いたい。 もちろん報酬は...」という内容だった。

 

ってな感じで始まります。 元刑務官と仮釈放中の二人が、素人ながら冤罪の

証拠を調査していきます。 その間、刑務官の苦悩、一度罪を犯してしまった

者の持つ苦悩が切々と語られています。 でも、さすがにミステリー、そこかしこに

たっぷり伏線が張られています。

 

8割方、読み終えたところで、「何となく、こっちの方にミスリードしてるな~」と

思ってると、ページをめくったところに驚きの一文が出てきます! お~、こりゃ

とってもミステリー!って嬉しくなるノリなんだけど、まだ2割も余ってるし...と

思いながらも読み進めると、そこからの疾走感は、特筆モノでした!!!

 

主人公の二人が別々のシチュエーションで、それぞれ驚くような展開を見せます。

もう、早く先を読みたくて、うずうずしながら一気に読了しました。 結末は少々

物悲しい形に収まっちゃったけど、これも仕方ないんかもしれんですね。

 

死刑制度のあり方だけでなく、罪を背負って生きていくこと、罪とは?正義とは?、

そもそも生きるってことの意味は、と色んなテーマが盛り込まれています。

そして、ミステリーとしても珠玉の一冊です。 興味のある方は是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月14日 (日)

『逃げろ光彦』 内田康夫

今日は、内田康夫氏の『逃げろ光彦』をご紹介。 100作品を超える浅見シリーズ

ですが、3分の2は読破しています。 浅見シリーズを片っ端に読んでた時期が

あったんですが、今回、久しぶりに内田作品を手にしてみました。

Nigero

 

内田氏にしては珍しい、5編からなる短編集です。 どの話しにも印象的な女性が

登場します。 さすが、ミステリーの大御所の作品と言える出来栄えですわ。

肩の力が抜けてるっていうか、文章の組み立てにも余裕が感じられます。

 

題名に反して、浅見光彦が登場するのは、最後のお話しだけだったんが、

少し拍子抜けじゃったな。 何を隠そう、浅見光彦のファンなんですよ。

あんな風に爽やかで、その上、年を取らんかったら、どんなにいいやら。(笑)

興味のある方は是非どうぞ! それにしても、女性って怖い生き物なのね。(汗) 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月24日 (月)

『99%の誘拐』 岡嶋二人

今日は、岡嶋二人の『99%の誘拐』をご紹介。 「岡嶋二人」というのはペンネームで、

井上泉氏と徳山諄一氏のコンビ名です。 もう20年近く前にコンビは解消しちゃった

そうで、この著は、代表作だと言う事で、手にとってみました。

 

99_2 

 

末期ガンの技術者が病床で、8年前に起こった息子の誘拐事件の手記を

書き綴るところから物語りは始まります。 そこには、誘拐事件の内容が克明に

記され、その誘拐事件によって、自身の半導体メーカを、大企業に吸収されて

しまう無念さ、誘拐された息子への愛情が切々と刻み込まれています。

 

それから12年後、新たな誘拐事件が発生します。 誘拐されたのは、20年前

小さな半導体メーカを吸収し、巨大メーカに成長したリカードの社長の孫。

そして、犯人から要求された身代金は10億円分のダイヤモンド。 犯人は、その

運搬役に20年前に誘拐された経験を持つ、主人公の生駒慎吾を指名します。

 

って展開なのですが、圧巻なのはハイテクを駆使しまくった後述の誘拐劇です。

今ではレガシーテクノロジーの感のある、ラップトップパソコンや、モデム、FDなどが

登場しますが、システムとしては秀逸かつ奇跡的。(ちょっと嫌味混じりです。笑)

それより、20年も前に、こんな発想ができた作者の先見の明に感服しきりです。

 

井上泉氏は、「井上夢人」と改名し、今でも執筆活動をされているようなので、

今度は近著を読んでみようかな? 興味のある方は読んでみてね!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月16日 (日)

『重力ピエロ』 伊坂幸太郎

今日は伊坂幸太郎著、『重力ピエロ』のご紹介。 伊坂氏の作品を読むんは、

「ラッシュライフ」、「グラスホッパー」に引き続き、3冊目になります。 書店で、

「重力ピエロ ついに映画化!」って文字が飛び込んできて、つい手にしました。

Gravitypierrot

 

兄の泉水と、弟の春はホントに仲のいい兄弟。 だけど、父親が異なります。

ここまでは、よくある話しだけど、春の父親が強姦魔というのが普通じゃありません。

若い頃、強姦された母親は、春を身篭り、父親と春を産む事を選びます。

「そんなん、ありえん!」って思うんだけど、広い世の中にはあるんじゃろうか?

 

兄弟は、すくすく成長し、泉水は遺伝子検査会社の社員へ、春は清掃会社の

経営者として、立派な社会人になります。 そんな日常で発生した連続放火事件。

こともあろうか、弟の春は、その連続放火事件に関連性がある事を発見し、

兄の会社が放火される事を予言し、それが的中します。

 

こんな感じで始まる物語りは、「放火」、「家族」、「グラフィティアート(町の落書き)」、

「遺伝子」、「ガン」などのキーワードを織り交ぜながら進んでいきます。

そのキーワードと、春の怪しげな行動が、あるところで1本の線にまとまります。

「う~ん、なるほど、そういう事か!」と、ミステリーによくある謎解きもできる本です。

核心の数ページ前に、真相に気がついて、よかった、よかった。(笑)

 

兄弟の会話が、あまりにアカデミックすぎたり、登場人物の考え方に賛同しかねる

事があったりと、現実とかけ離れてるんも否めないけど、フィクションとして読めば

コレはコレでありじゃな。 プロットはしっかりしてるし、読み物としては面白いです。

最初の1行と、最後の1行が、全く同じなんてのも、とっても素敵な演出です。

冒頭でも書きましたが、映画化されるそうですよ。 気になる方は、是非どうぞ!

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年11月 1日 (土)

『顔に降りかかる雨』 桐野夏生

桐野夏生氏の世界を遡り、ルーツでもある『顔に降りかかる雨』を読んでみました。

Kaonifurikakaruame_2 

 

主人公の女性「村野ミロ」が活躍する、いわゆる「ミロシリーズ」の第一作です。

ミロの友人の耀子が、不倫相手の成瀬から預かった1億円と共に失踪するところ

からお話しは始まります。 失踪前夜にミロに電話をしていた発信履歴から、

ミロに容疑がかかります。 その1億円は元々綺麗なお金ではなく、その筋の

ものだった事から、ミロと成瀬の二人で、失踪した耀子を探す事になります。

 

まあ、紆余曲折がありながら、ミスリードの犯人が死ぬ事で、一度物語りは終焉を

迎えますが、最後にどんでん返しが...と、ある意味、よくあるミステリーですね。

その真犯人は、小説の節々で怪しく、「明らかに、この人が犯人でしょ」と思ってたら

やっぱりそうでした。(笑) 犯罪に加担した人物が、小説内にほとんど出てこない

けど、実はキーパーソンだったというのも、よくあるけど、少々反則気味じゃな。

 

物語の中で感じるのは、ミロや耀子の強さです。 とてもじゃないけど、男性から

見て、「守ってあげたい」って、微塵も思えません。 心の動きも、理解に苦しむ

ところも少なからずあります。 そういえば、『OUT』の雅子も、『柔らかな頬』の

カスミも、力強く、よ~分からん心の動きをしてました。 桐野夏生氏自身が

そういった女性なのか、それとも、そういう女性を理想としているんでしょうかね?

 

フィクションとして、また読み物として、そしてミステリー小説として、桐野作品は

僕との相性はいいみたいです。 他の話題作も読んでみよっかな?

桐野夏生氏の記念すべきデビュー作。 気になる方は、是非どうぞ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月19日 (日)

『OUT』 桐野夏生

前回の『柔らかな頬』に引き続き、今回も桐野作品『OUT』を読んでみました。

Out_2

 

読み始めて、すぐにある事に気が付きました。 

「...これ、以前ドラマで観た話しじゃが。(汗)」 

ググってみると、やはり以前フジテレビでドラマ化されてたお話しでした。

それに、僕自身はドラマはあまり観ないんだけど、このお話しはインパクトが

強かったせいか、何となく見覚えがあります。 とはいえ、記憶力がそんなに

よくないのが幸いして、ほとんど覚えてないんだけどね。 よかったよかった。(笑)

 

さて、あらすじですが、弁当工場で働く仲良し主婦4人のうちの1人が、はずみで

亭主を殺してしまいます。 4人組のリーダー格の主人公「雅子」に相談すると

死体をバラバラにし、証拠を隠滅しようという事になります。

ほぼ思い通りに処理できたと思ったら、ずさんな1人から事件が発覚して

しまいます。 しかし、容疑者に上がったのは4人ではなく、殺された亭主が

通い詰めてたクラブのオーナー。 そのオーナーは、今回の容疑で自身の

お店を手ばなす事となり、4人を、特に「雅子」を追い詰めていきます。

 

ありえない展開は、ますますエスカレートしていき、最後のシーンでは、「いま

読んでる本って、ターミネーターかなんかじゃったっけ?」って思わせるほど、

凄い展開に、半分笑いながら引き込まれました。 雅子、凄すぎるぞ!(爆)

ドラマで映像化するのは明らかにNGな内容じゃな。 実際のドラマでは

もっと柔らかい内容に書き換えられてたみたいです。

 

でも、桐野夏生の世界って、なかなか面白いです。 ハマってしまいそうじゃわ。

また、他の作品も読んでみよっと! 興味のある方は、ぜひどうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月 5日 (日)

『柔らかな頬』 桐野夏生

今日は、桐野夏生作『柔らかな頬』のご紹介。 第121回直木賞受賞作です。

この作家の作品を読むんは初めてなんだけど。女流作家との相性、悪いんよ。(笑)

Yawarakanahoho_2

 

主人公のカスミは、夫のクライアント石山と不倫関係にあり、お互い家族を

省みないところまでのめりこんでしまった。 そんな中、石山の提案で購入した

支笏湖畔の別荘に、カスミの家族を招くという、大胆かつ浅はかな行動に出ます。

そこで、カスミの長女、5歳の有香が謎の失踪をしてしまいます。

 

「子供を捨ててもいい」と思っていたはずのカスミは、常軌を逸して、有香を

探し回ります。 その間、カスミ自身の心情、周囲の人々の心情、そして交わりが

どんどん変遷していく様を、緻密に描いています。 女流作家らしく、ちょっと

細かすぎて、「そこまで書かんでも...」って思う箇所も多分にあるんだけどね。

人気女流作家「宮○みゆき」さんほどではないかもしれんけど。(笑)

 

しかし、この主人公のカスミは、とても怖い女性ですわ。 『白夜行』の唐沢雪穂も、

『幻夜』の新海美冬も、「怖~っ」って思ったんだけど、このカスミはちょっと違った

意味で怖い女性です。 身の周りに、こんな人がいたら、絶対に理解不能ですわ。

自分勝手で奔放で破滅的で...女性の目線だと違うんかもしれんけどね。

 

ここからはネタバレなんで、気を付けて下さいね。(笑)

ミステリー小説という事で読んでみたんだけど、こりゃミステリーではありません。

最終的に犯人は、誰だか分からんままで、小説は終わります。 熟読すれば

分かるような伏線もありません。 それに、3人の容疑者らしき人物が描かれて

いるんですが、それは登場人物の夢の中でのお話し。 なんじゃそりゃ。(笑)

状況証拠さえもなく、真偽のほども分かりません。 さてさて、こりゃ困ったぞ。

 

ググッってみると、やはり犯人が分からないって事で、釈然としない読者は

たくさんいらっしゃるみたいです。 「登場人物の心理の変化を楽しむ小説」と

大人の読み方をされてる方もいらっしゃるみたいですが、僕にはムリじゃな。

正直、反則ですわ! この終わり方。 煮え切らなくて、しゃーないがな。(笑)

 

とはいえ、上下巻合わせると、結構なボリュームなんだけど、案外早く読了

しました。 この作家の書き味が、何となく僕にあってたんかもしれません。

ネットで見ると、『OUT』という作品がお勧めのようなので、今度はそれを読んで

みようかな。 気になる方は是非どうぞ! で、有香ちゃん、何処にいるん???

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月28日 (日)

『その日のまえに』 重松清

今日は先日、文庫化されたばっかりの重松清作『その日のまえに』のご紹介。 

Sonohinomaeni_2 

7編から構成される短編集なんですが、最後の3編は「その日のまえに」、「その日」、

「その日のあとで」という3部作となっています。 「その日」というのは、主人公の妻が

末期ガンで亡くなる「その日」の事。 その前中後のお話しが綴られています。

そう考えるだけで「ウルッ」って来ちゃいそうです。 もう、反則スレスレじゃ。

  

この3部作だけでなく、全編のテーマは「死」。 あんまり身近な人との死別を

経験していない僕は、「その日」をうまく乗り越えられるんか考えさせられました。

この本のあっちこっちで涙腺が壊れちゃって、もう大変でした。 あ~しんど。

 

ちなみに、「その日」の3部作が、『その日のまえに』というタイトルで映画化

されます。(主演:南原清隆 、永作博美) 明らかに泣けちゃう映画なんじゃろな。

さて、読んでから観るか、観てから読むか... 気になる方は是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月14日 (日)

『半落ち』 横山秀夫

「なんか面白い本、ないかな」と、本屋をぶらついてて、何となく手に取った『半落ち』。

数年前、寺尾聰主演で映画化された小説ですね。 遅ればせながら読んでみました。

Hanochi

 

警察官の梶聡一郎が、アルツハイマーの妻を絞殺し、自首するところから物語りは

始まります。 取調べで、絞殺後、自首するまでに、2日間の空白がある事が判明

します。 ところが、梶はどうしても、その「空白の2日間」の事を口にしません。

 

警察、検察、新聞記者、弁護士、裁判官たちが、それぞれ色んな角度から、

「空白の2日間」の真相を見極めようとしますが、梶は結局、最後の最後まで

自分から口にする事はありません。 読者もず~っと、やきもきさせられます。(笑)

 

最後の10ページで、「空白の2日間」に何をしていたか、そしてどうして口に

しなかったかが語られています。 感動のラストで、僕もウルッってしちゃいました。

ミステリー小説と呼べるかどうかは別にして、話題作なのも頷けました。

 

でも、読了後、冷静に考えると、何だか違うんじゃないかな~って感じました。

ここからは完全にネタバレなんで、文字色を白色にします。 読んでもいいや!って

方は、[Ctrl]+[A]なりで、反転させてお読み下さい。

 

自分が骨髄ドナーとなる事で救ったラーメン店の青年に迷惑をかけてはならない、

自分が骨髄バンクに登録できる期限の50歳が来るまで死ぬ訳にはいかないと、

自分が席を置いた組織に迷惑をかけても、頑として自白をせず、生きる道を選んだ

主人公。 それだけの決意ができるんだったら、どうしてアルツハイマーの妻と

何が何でも添い遂げる道を選ばなかったかと思うと、とっても腹立たしいです。

僕だったら、そんな偽善者のような道を選んで、妻を捨てるような事はしません。

 

確かに、妻や家族が病に伏すのは、本人だけじゃなく、家族全員に負担がかかるし、

見るのも辛い事だと思います。 でも、実際、世の中には当たり前のようにある

話しだし、主人公だけの身に降りかかった不幸ではありません。 重松清に

言わせると、「ミナナミナナヤミ」ですわ。 もちろん、同情はするけど、どうもねぇ。

 

って、自分の意見を書いたんだけど、うがった受け取り方かもしれません。

読了後には、人生について考えさせられる1冊です。 気になる方は是非どうぞ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年9月 9日 (火)

『容疑者Xの献身』 東野圭吾

先日の出張前に下中野の『啓文社』さんに新しい小説を物色しに行きました。

そこで見つけた「容疑者Xの献身」。 ここ数年、文庫化を一番楽しみにしていた

本だったんで、偶然見つけたときには、全身に鳥肌が立ちました。

Yougisyax

 

半年ほど前に、福山雅治主演でドラマ化された「ガリレオシリーズ」の第三弾です。

1冊目の「探偵ガリレオ」、2冊目の「予知夢」とも短編でしたが、「容疑者Xの献身」は

長編小説です。 それに、第134回直木賞受賞を初め、その年の名だたる賞を

総ナメにした超話題作です。 そりゃもう、読みたくて仕方がなかった一冊なんです。

 

物語は、ある女性と中学生の娘が、別れた亭主をはずみで死なせてしまう事件から

始まります。 その女性の隣人は、高校の数学教師「石神」。 その「石神」は

隣りの物音を聞きつけ、鋭い観察眼で殺人があった事を見破ります。

その上で、通報するわけではなく、殺人を隠蔽する事を母子に進言します。

天才数学者「石神」は、この女性に生まれて始めての好意を持っていたんです。

 

一方、常日頃、警察との関わりがある天才物理学者「湯川」が事件の捜査に

加わります。 そこで、天才同士の再会。 「石神」と「湯川」は、大学の同期で

互いを認め合う仲だったんだけど、「石神」は家庭の事情で日のあたらない道を

「湯川」は大学に残り、研究者として王道を進んでいます。

 

殺人犯も、その一部始終の事件も、読者は知ってしまうという意味では、コロンボ

シリーズみたいな印象を受けました。 物語の展開も最初から9割くらいは、

「湯川」が問題を一つ一つクリアしていく道程を描いています。

しかし、読者が「えぇ~っ」とビックリするどんでん返しが待ち構えています。

その計画の大胆かつ緻密さに、誰もが驚愕する展開です。

 

この小説は、一応ミステリー小説なんですが、純愛小説といっても過言じゃないと

思います。 理系で、もてない君の代表のような「石神」の一途で不器用な愛の形に、

同じ理系で、もてない君の僕は、共感と感銘を受けました。 「石神」、かっこいいぜ!

この超話題作、評判に偽りなし! 気になる方は是非どうぞ♪

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年8月22日 (金)

『グラスホッパー』 伊坂幸太郎

今日も小説ネタ。 伊坂幸太郎氏の『グラスホッパー』を紹介します。

Grasshopper

 

最愛の妻を交通事故で亡くした主人公「鈴木」。 交通事故の加害者は、闇社会に

大きな権力を持つ会社のドラ息子。 そのドラ息子への復讐を近い、「鈴木」は

その会社に潜り込みますが、目の前でドラ息子が車に轢かれてしまいます。

背中を誰かに押されて...

 

こんな書き出しで物語りは始まります。 暗示で自殺をさせる殺し屋「鯨」、

ナイフ使いの殺し屋「蝉」、そして主人公「鈴木」の3人それぞれの話しで進行し、

交通事故に見せかける殺し屋「押し屋」をキーとして、物語は繋がって行きます。

 

いわゆる「ハードボイルド」タッチの内容で、現実味があるような、ないような

内容なんですが、「次はどうなるん?」って感じで、とっても面白く読み進めました。

最後のどんでん返しも、興味深く描かれてて、筋としては良くできてると思います。

いい意味で、暇つぶしの読み物としてはお勧めの1冊です♪

 

ちなみに、この本は那覇空港の本屋さんで購入しました。 先日の沖縄旅行で

自分へのお土産は、たくさんの思い出とパシャ、そして、この本1冊のみです。(笑)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月21日 (木)

『きみの友だち』 重松清

今日は、お気に入りの作家 重松清氏の『きみの友だち』をご紹介。

つい先日、文庫化されたんで、すぐに飛びつきました。 映画化されたばかりなので

そのタイミングと合わせたんかもしれんですね。

Your_friend_2 

 

交通事故で足に障害が残った恵美ちゃんと、体の弱い友人の由香ちゃん、

恵美ちゃんの弟のブンくん、ブンくんのライバルのモトくん、そして周囲を取り巻く

人たちそれぞれにスポットライトを当てた短編で綴られています。

そのスポットライトを当てられた主人公を、作者は「きみ」と称しています。

 

内気な子、勝気な子、変に突っ張った子、本当に自分の身の周りにいた誰かと

重なるような生々しさで、少年少女の心の動きが描かれています。

昔、少年だった僕も、当時の事を思い出したり、今、その年代真っ只中の長女や

長男を思い、胸を熱くしました。

 

結構ボリュームのある本なんだけど、全般的によく書き込まれた本だと思います。

残念ながら、最後の数ページを除いてですが... 作者自身が、あとがきで

「最後の締めくくり方は賛否両論があるだろう」って書いてたんで、率直に自分の

意見を言いますが、あれはやりすぎですわ。 その前の章で、ぷっつり終わってた

方が、重松作品として良かったかもしれんです。

 

とはいえ、話題作であり、胸を打つ良い本である事には間違いありません。

映画も見に行ってみようかな? 気になる方は是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 5日 (火)

『エイジ』 重松清

沖縄旅行のお供に持っていった、重松清氏の『エイジ』。 氏の代表作なんだけど、

ついつい短編集になびいちゃって、まだ読んでなかったんよ。

Age

 

この物語の主人公は、中学2年生の「エイジ」。 クラスでは一目置かれる存在で、

委員会にも推薦され、秀才でクールな「タモツくん」にも認められてて、いわゆる

不良(ガキ大将かな?)の「ツカちゃん」とも仲良く付き合ってる少年です。

その上、勉強もよくできて、家族ともとっても仲良し。 好きな女の子はいるんだけど、

後輩の女の子に告白されて、付き合っちゃうような、優柔不断さも持ってます。

 

そんな悩める年頃の真っ只中を生きる「エイジ」の同級生が、通り魔で捕まります。

ニュースの中の事件、自分の周りの生活が、作り事のように違和感を感じ出した

頃に、クラスメイトが引き起こした身近な事件に、心が揺れ動きます。

 

「彼と自分の違いとは?」を真剣に悩み、自分が事件を起こす可能性がゼロでは

ない事に悩みます。 基本的に「いい子」の「エイジ」が、母親に反抗的な態度に

出たりしてしまいます。 知らず知らずの間に、色んなプレッシャーに晒されてて、

「キレル」のを押さえ込んでいる自分に気が付きます。

 

そんな中で、自分なりの答えとなる言葉を見つけます。 それは...

 「負けてらんねーよ!」

そうだよね。 中学生も、中年の僕も、負けてなんかいられないよね。

 

読了後は、励まされたような、勇気付けられたような、すがすがしい気持ちになる

一冊です。 気になる方は、是非一度読んでみて下さいね♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月29日 (火)

『生首に聞いてみろ』 法月綸太郎

今日ご紹介する小説は、法月綸太郎氏の『生首に聞いてみろ』。

暫く前から書店で目にしてたんだけど、あまりぞっとしない表題に敬遠してました。

Hyoushi

 

しかし、先日読んだ、有栖川有栖氏の『スイス時計の謎』のあとがきで、『生首に

聞いてみろ』が出るんだったら、「首なし死体」の話しなんて書くんじゃなかった、

という下りが書かれてました。 同業者にそう言わしめる本ってどんなんじゃろ?

と、手にとってみました。 ちなみに、この本、「このミス」 2005年版で一等賞を

取った作品でもあります。 これだけ揃ってると、期待は自ずと膨らみますね。

 

読了後の感想ですが、とっても細かい描写と、張り巡らされた伏線が印象的です。

正直、その描写の細かさで、ここまで分厚い本になったんじゃないん?って気も

します。 ご本人もあとがきで、「まあ、これは別になくてもいいよな」って、記述が

あったって書いてましたんで、まんざら言い過ぎでもないんでしょうね。(笑)

 

肝心のストーリーですが、プロットがよく練りこまれています。 張り巡らされた

伏線は見事です。 でも、優れた技巧とは裏腹に、お話しとしての盛り上がりや

面白さに少々物足りなさを感じました。 結構、読了に時間がかかっちゃったんも、

そのせいかもしれません。 期待が大きすぎたんでしょうね。

 

著者の緻密さが伝わる一冊です。 気になる方は、是非読んでみて下さいね!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月24日 (木)

『閉鎖病棟』 帚木蓬生

今日は、お友達から紹介されて読んでみた、帚木蓬生氏の『閉鎖病棟』のご紹介。

Heisabyoutou

 

この小説は、3つの短いお話しが展開される形でスタートします。 そのお話しは

この後の登場人物たちに関するエピソードなんですが、しっかりとインパクトのある

伏線になっていて、それぞれの人物が初めて登場する時に、その人物の背景に

どんな事があったのかを、読み手が理解しているという技巧が使われています。

 

「精神薄弱者」の側からの視点で物語を展開する事で、その健常者と変わらぬ

心の動き、世間や家族の理解の乏しさを切々と綴っています。 ある意味、

本当の意味での弱者たちの世界を記述する事で、人間の弱さ、強さ、やさしさを

うまく表現しているように思いました。

 

小説の中で展開される内容は、まさに僕たち身の周りの社会の縮図です。

人との関わりの大切さ、勇気や希望、そんなありふれた言葉を、あらためて

考えさせられる作品に仕上がっています。

 

「人間とは?」を考えさせられる1冊です。 興味のある方は是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月30日 (月)

『異邦の騎士(改訂完全版)』 島田荘司

本格ミステリーの大御所、島田荘司の幻のデビュー作、『異邦の騎士』の紹介です。

なぜ、幻と呼ばれるかと言うと、本当のデビュー作は、『占星術殺人事件』なんですが、

執筆されたのは、この『異邦の騎士』の方が先で、何年も経ってから、加筆された後、

世に発表されました。 ですので、「改訂完全版」となっています。

Ihounokishi

 

記憶喪失の男性が放浪するところから話しが始まります。 謎の女性との出会い、

だんだん明らかになる驚愕の過去、因縁の相手への復讐劇、そして急展開の

ラストと、息を尽かせぬストーリー展開です。 もう、面白くて一気に読みました。

 

この本には、島田荘司ファンなら大概知ってる驚きの結末が最後にあります。

僕は知らずに読んだんで、超ビックリ! あれこれ予習しなくてよかった~、と

心から思いました。 ですので、ここから先は一部、文字の色を白くして見えない

ようにしておきます。 気になる方は[ctrl]+[A]で、ご覧下さい。

 

「御手洗潔モノ」は、「御手洗潔」がホームズなら、「石岡君」がワトスンのような

位置付けなんですが、その二人の出会いが、この本で描かれています。

そうです、この本の主人公、↑で書いた記憶喪失の男性が「石岡君」なんです。

主人公は自分の名前さえ忘れてるんで、「石岡君」だって分かるのは、最後の最後

なんですけどね。 いつも、トンチンカンな紳士役、「石岡君」に、こんな悲しい過去が

あったと思うと、「じ~ん...」と、しちゃいました。

 

この作品、ある意味、モニュメント的な意味合いもありますが、ミステリーとしても

間違いなく「傑作」です。 できれば、他の「御手洗潔モノ」を何冊か読まれた後に

この作品を読んでもらえれば、感慨は何倍にも広がるはずです。

「御手洗潔モノ」、また読んでみよっと!  興味のある方は、是非どうぞ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月22日 (日)

『スイス時計の謎』 有栖川有栖

今日は小説ネタを一つ。 気になってたミステリー小説作家 有栖川有栖さんの

『スイス時計の謎』をご紹介。 ミステリー小説は、何と言っても「ネタ」が命なので、

なるべくネタバレは避けますね。

Suiss

短編3本、中編1本の、都合4つのお話しで構成されています。

最初の3本は、「ダイイングメッセージ」、「首なし死体」、「密室殺人」と、ミステリーが

好きな僕でさえ、のけぞるほど直球ド真ん中のミステリーです。(笑)

如何せん、短編ですんで登場人物が少なく、犯人は一発で分かっちゃいます。

それに、トリックも読んでる途中で、ほとんど分かっちゃいました。(汗)

 

最後の1作、表題作の「スイス時計の謎」。 氏のシリーズ物、「国名シリーズ」に

当たる作品みたいですが、これはなかなか秀逸でした。

犯人当ての理由が、とってもロジカルに仕上がってて、「なるほど!」と、唸りました。

読了後も、すっきり爽やかでした。 職業柄、論理的思考って好きなんですよ。

 

「ちょっとミステリーでも読んでみようかな?」って、初心者の方にはお勧めですよん。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年6月 8日 (日)

『さまよう刃』 東野圭吾

東野圭吾 の『さまよう刃』、読了しました。 今回もネタバレの予感大。(汗)

Book

 

ざっとしたあらすじを書いときますね。 これは小説の裏表紙の内容を転記しました。

 -蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。

  「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。

  遺族に裁く権利はあるのか? 

  社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は

 

ええ、お年頃の娘を持つ僕としては、もの凄く切ない、やりきれない内容でした。

その想いを、より強くさせるのは、「加害者が少年」という点です。

つまり、その加害者は、少年であるという理由のみで、どんな犯罪を行おうが

実名は明かされず、量刑も驚くほど軽く済んでしまいます。

 

被害者からすれば、加害者が少年だろうが、大人だろうが、受けた傷に変わりは

ありません。 その加害者が更生しようが、失ったモノは帰ってきません。

そんな現法案の矛盾を、東野圭吾ワールドで問題提起した一冊です。

 

結末は...多分、自然な形ではないでしょうか。 全ての読者が望んだ形では

ないでしょうけどね。 なんかこう、スッキリしませんが、しょうがないんでしょうね。

 

読み終えた後、「さまよう刃」という題名を、僕なりに考えてみました。

加害者を追う父親もそうでしょうし、犯罪を犯し、逃げ続ける危険な加害者もそう。

でも、僕の受け取り方は、現在の日本社会に、このような犯罪を犯す危険性が

ある人間が実際にたくさんいて、その人たちを指すのでは?と、思うんです。

物騒な事件が結構身近にあったりする今日この頃。 そんな「危険な刃」があなたの

隣りに住んでても、全然不思議じゃない世の中です。 物は溢れてて、豊かになった

かもしれんですが、どんどん住みにくい社会になってる気がしてなりません。

 

今回もそうなんだけど、東野作品の最後の100ページくらいは、凄い力で読み手を

引き込みます。 色んな作家さんの作品を読んでるんだけど、その力は群を抜いて

います。 さすが、僕の好きな作家さんナンバーワン! 次の文庫、早く出ないかな。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年6月 1日 (日)

『黒笑小説』 東野圭吾

東野圭吾の文庫本コンプリーターの僕としては、前作の『幻夜』から待つ事、1年余り。

やっと出ました、『黒笑小説』(文庫版)。 『怪笑小説』、『毒笑小説』の流れを汲んだ

シリーズ物っていうのは、題名からして火を見るより明らかですね。

Kokusyousyousetsu

 

予想通り、ブラックユーモアを含んだ全13編からなる短編集です。

でも、寄せ集めの感が、前2作よりも強いかな。 この短編が一冊の本に綴られてる

必然性が全く感じられんのんよ。 まあ、暇つぶしにはもってこいだけどね。

そんな中で、1番のお気に入りは「シンデレラ白夜行」。 こりゃ、なかなかじゃった。

もちろん、『白夜行』や『幻夜』を読んでないと、ツボは分かりにくいと思いますが。

 

正直、「1年待たされて、コレなん?」って思ってたら、すぐに、『さまよう刃』の文庫が

発刊されました。 もちろん、即ゲットで、今読んでるところです。

こちらは、打って変わって重たい内容...また、読了したらUPする予定です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月27日 (日)

『リビング』 重松清

久しぶりの重松作品、『リビング』。 全12作品中の4作品は続き物といった、少し

変則的な短編集です。 今回もネタバレ気味なので、ご注意下さい。(笑)

Living

一番、心に残った作品は「ミナナミナナヤミ」。 片仮名ばかりで「何のこっちゃ」って

思うわな。 この言葉は、主人公の男性を育てた母親の口癖なんです。 

その母親は若い頃に大変な苦労を重ね、女手一つで主人公を育て上げます。

その苦労も報われることなく、短命な一生を終えてしまいます。

 

傍若無人な父親を反面教師とした主人公は、新妻に母親と同じような苦労を

させまいと努力を重ねます。 そんな生活の中、妻が発した言葉は、「別れたい」。

理由が分からず、ふと主人公の口を突いて出た言葉が「ミナナミナナヤミ」。

この時、主人公も妻も、この言葉の意味を全く知りません。

 

しかし、あるやり取りで、この言葉の本意に辿り着きます。

 「ミナナミナナヤミ」=「皆 並みな 悩み」

そう、自分の身に降りかかる苦労も、他の誰かとそれほど変わらない悩みなんだと、

自分に言い聞かせる言葉なんだと気がつきます。

 

そのやり取りで妻の口にした言葉に、深く考えさせられました。 大体、こんな感じです。

 「あなたの母親がうらやましい。 悩みと苦労が一致してて、それを超える事が

  幸せだって信じられる。 姑とか夫とか悪者がちゃんと決まってて、自分が不幸

  だと思える幸せがある。 でも、私には、何もない。 どうしていいか分からない

  不安感だけが、ぽかん、と浮かんでるの。」

 

実際、そうかもしれんな~と、この台詞があったページを何回か読み直しました。

達成感や充足感は、何か目に見える物、肌で感じられる物、コレといった目標を

乗り越えないと得にくいもんかもしれんわな。 こんな苦労を乗り切ったんだってね。

でもね、主人公と同性の僕としては、やっぱり「でもね」って、言いたくなるんよ。

 

この後、この二人がどうなったかまでは明記されていません。 いつものパターンで、

読者に余韻を残したまま、短い物語は締めくくられます。 重松作品は、これといった

答えを出してはくれません。 しかし、あれこれ考える事や、色んな考え方がある事を

常に教えてくれます。 その中から、自分なりの在り方を導き出せたらと思ってます。

「ミナナミナナヤミ」、悩み事にぶつかったら、この言葉を思い出してみよっと。

 

ちなみに、この作品は直木賞受賞作『ビタミンF』と同時期の作品だそうです。 

もちろん、『ビタミンF』も読んだんだけど、この作品も負けず劣らずのイイ作品です。 

興味のある方は是非、読んでみてね!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年4月 8日 (火)

『イン・ザ・プール』、『空中ブランコ』 奥田英朗

今日は先日読み終わった小説のお話しを少々。 

その小説とは奥田英朗著 『イン・ザ・プール』と、『空中ブランコ』の2冊です。

Irabu

 

この2冊はどちらも短編で、『空中ブランコ』は『イン・ザ・プール』の続編にあたります。

主人公は、ハチャメチャな精神科医 伊良部一郎。 そこを訪れる患者の悩みを

取り除いていくお話しです。 と書くと、名精神科医のように思われるかもしれんけど、

治療と呼べるようなモンじゃなくて、強烈なドタバタ劇の中、患者が救われていきます。

 

特に面白かったのは、『空中ブランコ』の、「義父のヅラ」。

たまたま、このお話しを読んだのが電車の中だったんだけど、声を出して笑いそうに

なるのを抑えるのが大変じゃったわ。 小説であんなに笑ったんは初めてかもしれん。

 

伊良部一郎をドランクドラゴンの塚地で、ナースのマユミちゃんを沢尻エリカあたりで

ドラマ化されんかな?と、ググってみると、既にどちらも映像化されてるみたい。

『イン・ザ・プール』では松尾スズキ、『空中ブランコ』では阿部寛が伊良部一郎役を

やってたみたいだけど、キャスティングは、僕の方が絶対にはまってるはずじゃ。

 

計10編のお話しに10人の患者が登場するんだけど、読み終わった後に治療された

患者は11人。 そう、読者も患者の一人となって、スッキリした気持ちになります。

「面倒くさい事は考えずに、自分に正直でいいんじゃない?」って、伊良部先生に

教えられちゃうんですよ。 ホント、お勧めです。 是非、読んでみてね♪

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年4月 2日 (水)

『斜め屋敷の犯罪』 島田荘司

年度末、仕事であちこちに出張に出かけたもんだから、移動中、結構本を読みました。

そのうちの1冊を紹介。 島田荘司の2作目、『斜め屋敷の犯罪』。

Naname

 

本格ミステリー小説で、密室トリックが3連発と、ミステリー好きにはたまらん展開です。

そのトリックは、初級、中級、上級と、ランク付けできるんじゃないかな?

その上級は、ビックリする内容なんだけど、よ~く考えると...そりゃちょっとムリが

あるんじゃないん!と思わざるを得ません。 余りに、回りくどすぎです。(笑)

大木こだま・ひびきに、「そんな奴おれへんやろ~」 って、絶対に突っ込まれるわ。

 

この小説を読み終わって、ネット検索していると、「バカミス」という言葉を知りました。

一言で言うと、「バカなミステリー」。 そんなバカな!という感嘆にも使われるようです。

どうやら、この小説も「バカミス」と、評する読者も多いみたいで、僕もその一人かな?

でも、そのトリックのインパクトは強烈で、忘れる事のできないモノです。

 

興味がある方、ミステリーファンで未読の方は、是非読んでみて下さい。

「そんなバカな!」と、ビックリする事、そして突っ込みたくなる事、間違いナシです♪

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年3月18日 (火)

『占星術殺人事件』 島田荘司

実はこの本、3年ほど前に一度、書店で手に取った事があります。

もう片方の手には、東野圭吾の『秘密』があって、悩んだ挙句、東野圭吾の方を

選んじゃいました。 その後、東野ワールドにどっぷりはまり、文庫本は数冊を

除いて、ほとんど読破しました。 ハードカバーは重いんで、読んでないけど。(汗)

あれから、何年かして、「そういえば!」と、思い出し、今回読んでみる事にしました。

Senseijyutu

文頭は、とっても重く、暗く、とてつもなく読みづらい文章が続きます。

「おいおい、ドグラマグラばりに読みづらいがな。」と、呆れ半分で読み進めて行くと、

その読みづらい部分は、故人の手記という事で一段落し、ある意味、普通の

推理小説のような展開になります。 途中、内田康夫のような旅情サスペンス的な

箇所があったり、ミスリードがあったりと、伏線を張り巡らしながら物語は進みます。

 

ここでは書きませんが、この小説に使われているトリックは、とっても印象的で

読み終わって何日か経つ今でも、余韻を引いています。 いや~、こりゃ凄い!

それに、この作品が、今や大御所の島田荘司のデビュー作って言うんだから、

二度ビックリじゃ! 調べてみると、福山出身だそうで、親近感も沸きますね。

 

ミステリーものを読んでみようかな?と、思っている方、この本、お勧めですよ♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月 8日 (土)

『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎

書店で、「なんかイイ本ないかなぁ」と、見回してると「当店オススメ!」とあったんで、

何となく手に取った、伊坂幸太郎著 『ラッシュライフ』。 もちろん伊坂幸太郎って

名前は聞いた事があったんで、一度読んでみようかな?ってノリです。

Rushlife

 

全く別の5つのお話しが、それぞれ独立して物語が展開していきます。

しかし、実は場面場面で登場人物たちが交錯していて、最後に向かうにつれて、

その張り巡らされた伏線が明らかになる、といった手法が取られてます。

プロットもしっかりしてるし、「ふ~ん、なるほどねぇ。」と、感心しました。

 

でもね、何となくだけど、登場人物たちの言動に不自然さを感じなくもないかな。

読み終わった後の「爽快さ」も、今一つといったところ。 

物語の係わり合いは明確になるんだけど、気になる疑問がハッキリせんままなんよ。 

(読んだ事がある方は、何の事か分かるはず。まあ、作者の意図なんだろうけど。)

結構、読みやすい文章だったんで、また他の作品も読んでみようかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年2月22日 (金)

『十角館の殺人(新装改訂版)』 綾辻行人

結構、読書好きな方だと思うんだけど、ジャンルはミステリー小説に偏ってます。

小学生の頃、学校の図書館にあるシャーロック・ホームズシリーズを読み漁り、

高学年では、その当時に流行ってた金田一耕助シリーズを片っ端から読みました。

暫く、小説をマンガに置き換えた時期(汗)があったのですが、社会人になって

からは出張での移動時間など、暇つぶし程度に読んでます。

 

今回、読了したんが、綾辻行人作 『十角館の殺人(新装改訂版)』。

Book

この本は、氏のデビュー作なのですが、それに改訂を入れたものだそうです。

所謂、本格ミステリーと呼ばれる物だろうと読み進めて行くと、逆にそれを茶化した

ような登場人物の言動や、現実味のない台詞に馴染めず、「こりゃ、読み辛いな」と

正直、少々困惑気味でした。

 

さらに読み進めていくと、氏の手法に何となく慣れてきて、400ページ程、読んだ

ところで 『驚きの1行』 に出くわします。

全ては、この1行のための、長~い前フリと言っても過言じゃありません。(笑)

 

構図は独特かつ大胆で、プロットは綿密に練られています。 改訂版とはいえ、

これがデビュー作というのは凄い事だと思います。 さて、次は何を読もうかな?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月31日 (木)

『トワイライト』 重松清

本日2度目のUP。 下書きがたまってて、鮮度が落ちてきてるんで放出~!

 

久々に書籍ネタ。 重松清の『トワイライト』。 今回も少しネタバレの予感。

Twilight

小学生の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こそうと39歳の同級生達が集合。

その中の当時、秀才、ガキ大将、マドンナ、天然の明るい子、根暗な女の子、転校生

の6人を中心に物語が展開します。

幼い頃、遠いけど輝かしいはずだった「未来」の21世紀。

実際に中年世代になり、その時代を迎えると、そこにあるのは思い描いた理想とは

余りにかけ離れた現実。 その現実が登場人物達に辛く、重たく、そして非情に

のしかかります。

 

重松作品の特徴ですが、彼らにハッピーエンドはありません。

今回も、現実として受け入れる姿が描かれています。

まあ、実際、「生きる」って、そんなに甘くないですもんね。

 

僕自身に照らし合わせて考えてみると...

幼い頃、想像していた未来の自分と、今の自分の姿は...やっぱり違うわな。

というか、幼い頃に将来の展望なんかこれっぽっちも無かった。

「2000年には3○才になってるんだな。ふ~ん。」、程度じゃったように思う。

何となく流されて、今の居場所に辿り着いたって感じなんかな。

 

あっ、でもその場その場で、一生懸命もがいてたんは間違いないはず。

その「もがいた行く先」はよく分からんかったけど。(笑)

多分、これからもその路線なんじゃろうな。 今更、スタイルなんて変えれんし。

これが”不惑”っていうんかな。 えっ、違うん?(汗)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年1月 8日 (火)

『熱球』 重松清

年始、読み終わった『熱球』。 今回は結構時間がかかったな。

今回は多少ネタバレ気味なので、読んでみようかな?と思われてる方は注意してね。

Nekkyu

 

本作は主人公「ヨージ」の一時的な帰郷を背景に、母の死、年老いた父の今後、

娘へのいじめ、リストラ、中年世代に踏み込んだ自分を見つめなおす日々が書き

綴られています。

元高校球児の「ヨージ」らしく、野球との関わりが盛り込まれながら話しは展開します。

 

作中に重松作品らしいキーワードが2つ込められています。

1つは「負けてもいい。高校野球でも最後まで勝ち抜くのは甲子園での優勝校だけ。」

もう1つは「逃げてもいい。逃げたからこそ帰ってくることができるんだから。」

このキーワードは要約してるんで、文中ではもっと自然に表現されています。

でも、今回は正直言って少々引っかかります。 この後はあくまでも私見で、気分を

害する表記があるかもしれません。 

どうしても、ご覧になりたい方は、Ctrl+Aを押してみてね。

 

まず、重松作品に良く出てくる「負けてもいい。」というキーワードだけど、今回は特に

違和感を感じた。 そもそも「負け」るまでのアプローチ、「負け」た後の反省と努力、

それがないと「負け」なんて何の意味もないと思うんは僕だけかな?

特に今回は、嫁も子もある長男の「ヨージ」が、里帰りした後、特に職に就く訳でも

なく、留学で働く妻を包み込むこともなく、最終的に父の面倒を看る訳でもない。

田舎暮らしでは車が必要と中古のゴルフを買い、旧友を田舎者扱いする一面も。

日々をガムシャラに生きてる人からは、「のんき」を通り越して「あほ」にしか見えん。

そんな主人公が「負けてもいい」、「逃げてもいい」って口にしても、正直胸に響かんわ。

途中で何度読むのを止めようかって思ったか...これが長くかかった理由です。

今、『熱球』と一緒に買った重松作品を読んでいるんだけど、今回読んでる本が

つまらんかったら、暫く他の作家に鞍替えじゃな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月 8日 (土)

重松 清 『送り火』

今日読み終わったのが9編の短編が織り成す、この『送り火』。

Okuribi_3

 

最初の2編はファンタジーホラー(で、いいん?)って感じのお話しで「今回は気軽

に読めるんかな?」と思ってたけど...んなこた~ない。

途中から、スピードは速くはないんだけど、ずっしりと重い、ド真ん中のストレートが

放り込まれます。 魔球「重松ボール」とでもいうんでしょうかね?

今回も逃げずにミットを構えて受け取りましたよ。

 

生を授かった瞬間から、差別なく皆に訪れる老いと死。

それを受け止めるしかない自分、それを受け止める身近な人を見守る自分。

だけど、こんな当たり前の事を忘れて(敢えて無視して)、日常は過ぎていく。

決して立ち止まる事のない時間の流れの中で、自分は今どうするべきか。

こんなんを考えさせられる訳ですよ。

 

この日記で「先週と同じ書き出しじゃな」なんて書いてるんだけど、1週間何事も無く

同じようにブログができる、これってとっても素敵な事じゃと思うんよな、最近。

「昨日」と変わり映えのしない「今日」、これもイイ。

一番身近な未来「明日」でさえ何が起こるかわからない、これもアリ。

「今日」、そしてたった「今」が平穏無事、これってとっても幸せな事だなって思うんよ。

...この後は、アンジェラ・アキの『TODAY』をお聞き下さい♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月18日 (日)

重松 清 『口笛吹いて』

昨日、香川での打ち合わせの行き帰りで完読。 今回も切ないね。

いつものように、これといった解決策が出る訳でもなく淡々(タンタン)とお話しは締め

くくられる。

物語が人生の一部を切り取った形で作られているんで、「ハイこれで終わり」なんて

終わりかたの方が不自然なのかもね。

しっかし、読み終わった後の、その余韻の長いこと、長いこと。

Kutibue

 

そういえば、今回の打ち合わせは午後からの予定が、朝からに変更になったんで、

うどんが食べれんかった。(涙)

でも、客先(津田町)の近所にある定食屋さんで食べた刺身定食が絶品じゃった。

大ぶりに切られたカンパチの刺身がブリッブリで、ビックリするほど新鮮!

しかし、会議室にデジカメ忘れてもうて、撮れとりません。(汗)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月10日 (土)

重松 清 『ナイフ』

小説、結構読みます。

いつもバッグに本が入ってて、出張の移動中や少し時間ができた時に読んでます。

一昨日読み終わったのがこの『ナイフ』。

Knife

 

重松作品は、『流星ワゴン』から始まって、これで5、6冊目かな。

よくあるスタイルが100ページ前後の短編集で、この『ナイフ』もそう。

また、僕のような中年(と自覚を始めた世代)の男性、またはそういった父を親に持つ

子供を中心に、どこにでもあるような、だけど答えが1つじゃない出来事を描いてる。

 

いじめ、不登校、リストラ、コンプレックス、反抗期、家族崩壊...

どこにでもあるはずだけど、自分には関係ない、降りかからないと思って生活している

僕には、小説の中の世界の、その残酷さや切なさがずっしり圧し掛かってくる。

 

色々なお話しを読んで、自分の懐がほんの少しでも大きくなれば、なんて思ってます。

でも、理想の父親、理想の夫、そんなの一言で片付けられるもんじゃないし、自分の

理想が家族の理想と同じなんてありえないし...う~ん、なかなか難しいね。

 

重松作品を読む前の自分に聞いてみたい。

『今の僕は、その頃の僕と比べて成長できているか?』

君は笑って「ああ」と言ってくれるだろうか。

それとも「まだまだ」って、かぶりを振るんだろうか。

空は青い。昨日の自分を追いかける一日がまた、始まる。(重松 清風)

| | コメント (0) | トラックバック (0)